ラーメンといえば中国四千年の歴史が生んだ素晴らしい食べ物ですが、最早日本では独自にアレンジされて立派な、 れっきとした「日本食としてのラーメン」としての確固たる地位を築きあげています。
このキムチも、ラーメン同様の立場である、といっても過言ではありません。
タクアンや野沢菜などの純日本風漬物に負けず劣らず食卓に登場すること日常茶飯事のキムチではありますが、 ここはひとつキムチとはどうやって作られるのかを肌でしみじみと感じながら、キムチの素晴らしさを再発見してゆきたいと思います。
今回は核家族にも作りやすい分量ということで白菜半分を用いて作ります。 まずは白菜半分の根元に少し切れ目を入れて、手で一気に引き裂きます。 こうすることで、味がなじみやすくなります。
葉を一枚一枚広げながら、塩をまぶします。 根元の方も忘れずに! 塩の分量は白菜の重さの3%です。
※白菜漬けもカンタンで美味しいものです。
塩をまぶす際、ちょっとだけ塩を残しておいて、水少々で溶きます。 そしてその塩水を、白菜にかけます。 塩の周りがよくなるんです。
塩をまぶし終えたら、容器に白菜を入れ、上から重石をします。 図は大鍋に白菜を入れ、上から木桶をかぶせ、その上に漬物石を置くまさにその瞬間です。
一晩置くと、白菜から水分が出てしんなりします。 それをザルにあけ、しばらく自然に水切りをします。 ここでギューッと水気をしぼると、白菜の旨味も出ちゃう事になります。
次はキムチのキムチたるに不可欠な合わせ調味料、ヤンニョムを作ります。 まずはニンニクをすりおろします。
ショウガをせん切りにします。
林檎を皮、芯、タネを除いてすりおろします。 リンゴ以外にも熟した柿や、梨でも美味しく作れます。
ネギを1センチの長さに切って入れます。
アゴや煮干しの粉末ダシを入れます。 なければ煮干(10尾)でも良いです。
白ゴマを炒ってからすり、少々入れておきます。
出汁昆布をせん切りにして入れます。
魚醤を入れます。 ナンプラーやニョクマム、しょっつるでも代用できます。
アミの塩辛は欠かせません。
韓国産粉唐辛子を好みの分量投入します。 粗挽きと、粉末を混ぜ合わせて使うほうがよいです。 飾り付け用として、糸唐辛子(糸のように細く切った唐辛子)があれば言うことなしです。
上記の材料を全て混ぜ合わせて、最後に砂糖を大さじ4杯追加して、よく混ぜ合わせます。
ヤンニョムはキムチ以外にも、チャーハンやキムチ鍋などにも使える万能調味料なので多めに作って冷凍しておくのもアリです。 さらに松の実や干し貝柱なんかを入れるとより複雑な風味に仕上がります。
※砂糖のかわりにハチミツを使うというテもあります。
せっかくですから、だから、白菜以外のものも一緒に漬けます。 今回は冷蔵庫のにあった長ネギを細長く刻んで入れます。 その他も大根や人参、ニラやせりなんかも美味しいです。 刻んだ野菜に、粉唐辛子を満遍なくまぶしておきます。
いよいよ漬け込み開始であります。 塩漬けしておいた白菜に、粉唐辛子をまぶした野菜たちを挟み込んでいきます。
白菜の葉の間全てに、粉唐辛子をまぶした具を挟み込んでいくと、このようなかんじに膨らみます。 一番外側の葉で、全体を丸め込んでおくと、よくまとまります。
最後にヤンニョムを白菜全体に塗りつけます。 ここでヤンニョムが少なすぎたりしたら、目も当てられないのでヤンニョムは是非多めに作っておきましょう。
ヤンニョムを塗りおえたら、ビニール袋に包んで、発酵するのを待ちます。 常温で発酵させる場合は、日陰で温かくならない場所に安置しておきます。 3〜5日経過し、 ビニール袋が膨らんだら食べごろです。 冷蔵庫に保管して1週間程度で食べきりましょう。 はじめから冷蔵庫で発酵させる場合は1週間ぐらい置いたら食べごろになります。
今回は常温に4日安置したらイイ具合に出来上がりました。 なにしろ、大絶品!
昔韓国に貧しい農夫がおりました。 食べ物はしおれた白菜しかありません。 農夫はカメに海水をくんで、白菜を漬けました。 こうすれば、白菜がシャキッとすると思ったからです。
しばらくして戻ってみると、農夫は白菜が大きくなっていることに気づきました。 たった数時間でこれほど大きくなるのなら、一晩漬けたらもっと大きくなるに違いない! 翌朝農夫は期待しながらカメを覗きました。
ところが中身はなんと!半分になっていました。 農夫は塩のせいでこうなった事には気づかず、泥棒に盗まれたのだと思いました。 どうやってつかまえようかと、減った白菜を何気にひとつ、つまんだら、ただの白菜とはまったく違う味になっているだけでなくとても美味しくなっていました。 こうしてキムチ生まれたのだとさ。 - 古い伝説 -
05/05/02